DESIGN CONCEPT



失われつつあるものの姿を、留めてみようとしている。 目の前を流れる水を、手にすくい喉の渇きを潤す。けれども、手から零れ落ちていく水は、どんどん排水溝へ吸い込まれ、およそ関係のない場所に運ばれていく。目の前に座るあなたは、瞬きを繰り返しながら、何かを見ている。けれども、瞬きの数だけ、あなたは失い、受け入れている。当のあなたも、少しずつ、確実に、消失へと向かう。そして今、僕らが生きる社会は、多くのものを、ものすごい速さで消失へと向かわせている。それが現実だ。 被写体と向き合い、数分間にわたって200回のシャッターを切る。そして、それら全てをプリントし、重ね合わせ、彫りこんでいく。長い時間をかけて、一つの像が立ち表れてくる。消失の連続が、像を生み出すという、逆説的ともいえる結果を前にして思う。像はなんと遠いのか、と。歪んで、形を変えられた被写体たちは、過ぎ去った時を幾通りもの方法で生き続けているようで、そこは、僕らからは遠い場所だと言わざるをえないのだから。けれども、この遠さは、信じていいものだとも思う。そこからこそ、隠喩への糸口を得て、失われつつあり続ける今をアジテートできるのだから。

Nerhol


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